❖書籍の紹介

書籍の紹介~保護者の役割~

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❖有名な書籍から学べる事

ここで、ご紹介する書籍の著者は、コーチとしても多くの実績を持ち、レベルの高いサッカー選手をたくさん育てています。
そのような著者たちが共通して主張されていることは、とてもシンプルなことですが、保護者がそれを実行するのはとても難しい。
その逆をやってしまう保護者の方が圧倒的に多く、子どもの成長を妨げてしまっているのが現状です。
今まで「子どもにとって良かれ」と思って、自分のやってきたことを否定されると、著者を疑い、耳の痛い言葉は無視したくなります。
「うちにはうちのやり方がある」と。
もちろん、すべてを鵜呑みにする必要はありませんが、実績のある著者たちの言葉には、無視しきれない「ゆるぎない力」があります。
少なくとも参考にして、試してみる価値はありませんか?
そうすれば、子どもたちは少しでも苦しみから解放され、伸び伸びとサッカーをしてすばらしい選手、すばらしい人間に成長していくかもしれません。
ここでは、実績ある監督・コーチたちが「保護者に対してお願いしたいこと」「子どもをダメにする保護者の特徴」について、書かれている部分を抜粋してご紹介しています。
その中で、共通している点は、大いに参考にしてみていいのではないでしょうか?

❖少年サッカーは9割親で決まる

島沢優子 (著), 池上正 (監修)

◎ 試合中に親はコーチングしない

子どもの試合を観戦するときのサイドコーチングは慎みましょう。
「オフサイドライン、見えてる?」「ほらほら、そこはオフサイドだぞ!」 そのように声をからして言葉をかけている親御さんやコーチの方をよく見 かけます。
審判へのヤジはもちろんですが、子どもたちへのコーチングは少年サッカーではタブーです。
他にも、「そこ、勝負!」とか、「シュート撃て!」とか「逆サイド見て!」などといった指示にあたる応援は絶対にやってはいけないことになっています(みなさんルールを破っていますが)。

◎よその子と比べない

「周囲の友達はみるみるそのようなことができるようになっている感じ」と書かれています。
他の相談者でも非常に多いのですが、お子さんをよその子と比較しては嘆いている様子がここでも伺えます。
お父さんやお母さんも、お子さんからよその家の親御さんと比べられたら、面白くないですよね?
年収、社会的地位、容姿。
努力次第ですぐにどうにでもなるようなものではありません。
とすれば、お子さんのサッカーも似たものではありませんか?
「何か実になるアドバイスをしなければ」 と親が力むのは、子どもにとって逆にマイナスです。
アドバイスではなく「親側の願い」として、お話をされるといいでしょう。

◎やめさせる権利は親にない

ご相談のメールを読むと、親御さんがサッカーをする息子さんに対して攻撃的な印象を受けます。怒っているように見えます。
攻撃的になるのは、その前に感情を乱されているからですね。
どんな場合でも、親が感情的になって「もう、やめてしまえ!」と怒鳴って何かをやめさせると、次にまた何かを始めたときに同じことが起きるものです。
他のスポーツや習い事を始めても「また一生懸命やってない!」となります。
同じことの繰り返しですね。
そういったことが続くと、子どもはどうなるか。
自分で何かを乗り越えるチャンスをことごとくつぶされるので、自信を得られず無気力になる可能性も少なくありません。
子どもの心は、将棋の駒のように親が勝手に動かせるものではありません。
好きになるのも、立ち向かうのも、子ども次第。
成長の速さも時期も一人ひとり異なります。
見守ることが一番大切な親の役目だと思います。
私の意見をそのまま奥様に伝えてもいいので、一度ご夫婦で何が大事なのかを話し合ってみてはいかがでしょうか?

◎低学年で自主練しないのは当たり前

「コーチにアドバイスを受けても試合が終わっても悔しいそぶりもなくへらへらとして」
「自分からはなかなか練習をせず、そのくせうまくなりたいとは言っている」
息子さんに対し、お父さんとしてはイライラしています。
ですが、7つや8つで、コーチからアドバイスされて悔しがり、自ら自主練を始めるものでしょうか?
本当にそんな子がいるのなら、私なら逆に親の期待に添うよう振る舞ってしまい、自分をなくしているのではないかと心配になってしまいます。
実際に、自分がそうすれば「親が喜ぶ」と感じてやる子もいました。
現実として、かなりの数の家庭の子育てが「結果主義」。
「○○ができるあなたが大好き」というような条件付きの愛情と言われます。

◎接触プレーを強要しない

また、気がやさしくて内気な子が全員接触プレーが苦手なわけでもありません。
大人の方には(特に保護者の方)ご自分の思い込みだけで子どもを判断せず、それぞれの身体的な特徴やプレースタイルをきちんと見てアドバイスしてほしいです。
「毎晩リフティング、ドリブル、パスなどの練習を親子でし、その結果、リフティングは百回」とあります。
強豪チームに加入して、親御さんとお子さんの二人三脚で懸命に練習しているようですが、これはお子さんから「やりたい!」と言ってやっていることでしょうか。
であればいいのですが、この相談文を読んで、私が真っ先に思ったのは「あまり追い込まれ過ぎてサッカーを嫌いにならなければいいなあ」ということです。どうか気をつけてください。

◎チームの中で起きたことは、コーチに任せる

小学1年生から始めており、とてもサッカーは大好きな息子です。
そんな息子から最近サッカーをやめたいと言われ、とても驚きました。
チーム内で一人の子からいじめをずっと受けていたとのことです。息子は寡黙で人とのかかわりがとても苦手な性格です。
我慢強い性格でもあり、今回親に打ち明けたのは本当にたまりかねてだと思います。
集団ではなく一人からなので、このままやめさせるのもどうかと悩んでいます。
相手の親御さんとは話をするものの、和解は難しい環境です。
どうするべきかとても悩んでいます。

保護者として大切なのは「チームの中で起きたことは、コーチに任せる」というスタンスです。
コーチよりも先に相手の親御さんと話をされたようですが、子ども同士のトラブルに親が口を挟むと、どうしてもお互いわが子の言い分を大人が言い合うだけになり、解決の糸口がなかなかつかめません。
いったんコーチに任せて様子を見る。

◎勝手に「手遅れ」と決めつけない

スポーツをやるというと、日本の大人は大概 「何でも一番になれ!」と言います。
一番が大好きな国民のようです。
ですが、成功したアスリートが全員子どものころからずっと一番ではないように、誰でも成長曲線には上り下りがあります。
まだ小学5年生。
体も大きくなるし、これからどんどん変わっていきます。
親御さん自身が現状のわが子の姿にとらわれていると、「このままだとうちの子はずっと2軍だ」などとナーバスになりがちです。
親の不安はすぐに子どもに伝わりますから、知らず知らずのうちに自己肯定感を下げてしまい、追い詰めてしまうケースも少なくありません。
とにかく、その子が2軍チームでもやりがいがあり、楽しいのであれば、そのなかで自分の成長を追求していけるのがベストです。
そのために親ができることは、子どものモチベーションが上がるようなかかわりあい方です。

◎仮病だとイライラしない

あまりに痛がるようなら、面倒かもしれませんが医者に連れていきましょう。
「何も異常はありませんよ」と言われれば、本人も納得するでしょう。
親が子どもと一緒に一喜一憂しないことです。
「どうしてすぐに痛くなるの?」などと言ってはいけません。
「痛くてもやれ」は論外です。
本人が訴えていることは否定しないこと。
親御さんが、息子さんの性格を「プライドが高く言い訳ばかりする」と感じているなら、なおさらです。
基本的に楽しくサッカーをしている子はこのような症状は現われません。
親御さんの立場としては、「楽しくサッカーをしているか」だけ気をつけていればいい、と私は思います。

◎保護者はサッカー経験者である必要なし

息子さんのように、具体的に技術的なことで悩んだり「こうなりたい」という目標があるのなら、彼自身がコーチに自分で聞きにいくのが基本だと思います。
ここは正直に話しましょう。
「お父さんはサッカーをやったことがないから、わからないな。コーチに自分で聞いてごらん」
もしかしたら、子どもががっかりするのではないか、期待を裏切ることにならないかなどと心配になるかもしれませんが、気にすることはありません。
逆に、自分が教わったやり方で幾分間違って教えたり、「どうしてこんなこともできないの?」と感情的になったりと、サッカー経験者の親御さんの方が難しいものです。

◎遅く始めても保護者が焦らない

周囲より少し遅い4年生からのスタートで、親御さん以上に戸惑っているのはお子さん本人でしょう。
「できない、できない」と口に出しているのですから。
今、お子さんは周囲よりも劣ることのつらさがある中、サッカーの楽しさも感じている。
だから喜んで練習には行くのでしょう。
子どもは自分のなかで戦っている、ぜひ、そうとらえてください。
そもそも、わが子が「できない」ことに、本人以上にいら立っているのは親御さんではないでしょうか。
ここは、なかなか結果を出せないでいるわが子を黙って見守ることが、親の役目だと考えてください。
今はまだ入り口のところにいますから、もう少し長い目で見てあげませんか。
あれをしろ、これをしろではなく、例えば、子どもに「お父さんが何か手伝えることはある?」と尋ねてあげてください。
「何もないよ」と言えば、ほっとけばいいのです。
子どもが自発的に取り組むことでしか、本当の成長は得られません。

❖子どもが自ら考えて行動する力を引き出す 魔法のサッカーコーチング ボトムアップ理論で自立心を養う

著者 畑喜美夫

◎目の前の結果で一喜一憂しない

勝った負けたで一喜一憂しないでください。
要するに、勝ったときに伸びるチャンスがあるし、でも負けたときにはそれ以上の育成するチャンスがあることを知っていてください。
だから、うまくいかなかったときほど、お父さん、お母さんの良い言葉がけをしてあげてください。
「だめじゃったねえ」とか「なんしょうるんねぇ」とかいう言葉ではなく「残念じゃったねえ。次、がんばってみようね」というポジティブな言葉がけを、子どもたちが家に帰ったときにぜひお願いしたいと思います。

◎過保護にならず、課題解決まで待ってあげる

子どもたちが、うまくいかなくなって苦しんでいるときに、すぐに手を差し伸べずに、子どもたちが考えて解決する瞬間を見守ってください。
そうしたときは、すこし距離をおいて様子を見ながら、自分で考えて解決しようとしているか、見てあげてください。
いまの子どもたちに過保護や過干渉にならないように、育てていくということは、子どたちが将来を生きていくという意味では大切なことです。
何でもかんでもすぐに手を差し伸べて、早い段階での安心安全を求める風潮があります。
やはり、自分で失敗してもいいからチャレンジさせてみるという、次に向けての課題解決の判断を奪わないように見守ってください。

❖興國高校式Jリーガー育成メソッド ~いまだ全国出場経験のないサッカー部からなぜ毎年Jリーガーが生まれ続けるのか?~

著者 内野智章

◎プロに進む選手の保護者に共通すること

興國からプロに行った選手の家庭に共通しているのは、保護者が明るくて、試合をよく見に来てくれていたことです。
すごく応援し、サッカーのことについては一切口出しをしませんでした。
僕とも友好的にコミュニケーションをとりますし、こちらからしない限り、サッカーの話はしません。
「監督、元気? いろいろ大変やね」みたいな感じで、世間話をしてケラケラ笑っています。
たまに僕が「ちょっと、おたくの息子さん、僕のことなめてますよ。この前、こんなこと言われたんですけど(笑)」とかフランクに話して
「あら、すんません。私からも言っておきますんで」 みたいな。
これも大阪のノリですよね。
ただ、子供が入学する前には、すごく熱心に質問をする方もいます。
進路のことやケガをしたときにどうするのかなど、親の立場として心配なこともありますからね。
でも、入学した後には一切言ってきません。
プロに行く選手、大学で活躍する選手の保護者は、99%そのタイプです。
なかには自分も若い頃はサッカーをしていて、詳しいお父さんもいます。
僕に対して、言いたいこともあるのではと思いますが、ほとんど何も言ってきません。
「いつもありがとうございます」みたいな感じで、僕も「こちらこそ、ありがとうございます」というようなスタンスですね。
だから、僕としても選手に気を使わずに指導ができるんです。
「こんなことを言ったら、親からクレームが来るかな?」と少しでも頭をよぎったら、言葉を選んでしまいますよね。
そうすると指導するタイミングを逃すし、こっちの本気も伝わりきらないんです。
ガツンとぶつかることができると、遠慮なく言えるし、深く関わることができます。
だから、選手も本気になってくれるんだと思います。

◎親が指導に口を出して損するのは子供

親が指導に口出しをすると、 結局子どもが損してしまうんです。
親のプレッシャーが嫌で、指導者が関わらなかったり、気を使って指導をしても成長できません。
結果、性格的にあまちゃんになって、頑張りがきかない。
ちょっとうまくいかないと、プレーがダメになったり。
試合に出られないことに慣れていなくて、ふてくされてしまったり。
そんな時期を過ごしてしまうと、高校や大学など、親が出て行けない環境になった時に、頭打ちになってしまうんです。
自分で自分を高めていく術を持っていないので、どうすればいいかがわからない。
親がカーナビになったツケが回ってくるんです。
子供に間違っていない道を行かそうとした結果、ナビがなくなった時にどの道を行けばいいかがわからなくなってしまうんです。
どの道を通ったのか、目的地に着くまでに何があったのか。
その経験が血となり肉となるわけです。
うまくいかない時に、どうやって解決するか。乗り越えていくかを学ぶのは、サッカーに限らず人生でも重要なこと。
高校生はそれをサッカーの中で体験しているわけです。
そう考えると、親が出て行って、障害を取り除いてあげる必要はまったくないのです。
指導者も人間ですし、選手を下手にしようと思って指導しているわけではありません。
それに指導方針が間違っていたら、これだけ毎年プロ選手が誕生してはいないでしょうし、300人近い部員も集まらないでしょう。
この時代、悪いことがあれば一瞬で広まってしまいます。
たまには間違うこともあるかもしれませんが、大局的に見て良い方を向いているので、これだけ多くの生徒が来てくれていると、僕は思っています。

◎親の言動で子供のチャンスが潰れる

才能がある選手の中に、親の関わりによってダメになる子はたくさんいます。
例えば、あるジュニアユースの監督さんから「お前のところに○○って選手、練習に行ってるやろ? あいつ獲得するんか?」と言われて「なんでですか?」と訊くと「あいつの親、口出ししてくるので、だいぶややこしいらしいで。監督が息子にあんなこと言った、こんなこと言ったとふれ回っているらしい」と。
直接、その選手が所属するチームの監督は言って来ませんが、周辺の人から伝わってきます。
そう言われても、僕には関係ないので良いと思った選手は獲りますが、その選手はかわいそうですよね。
親の言動で子供のチャンスを潰すことになりかねませんから。

❖サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方

著者 菊原志郎

◎ミスした子に感情をぶつける大人

志郎:子どもがミスしたとき、「何やってんだ!」と感情をぶつけてしまう保護者をよく見かけます。
同じ年齢でも昔の保護者のほうが成熟度は高かったし、大人らしかったですよね。
子どもたちは大人の目をすごく気にするから、自立を促す方向にいかないとダメなんですよね。
――ちなみに、志郎さんが読売クラブでやっていたときの保護者はどういう感じだったんですか?
志郎:僕らの時代の保護者は、よく見に来てはいたけど、サッカーに関しては何も口出ししなかったですね。
最近の保護者のほうが知識はあるので、コーチのようなことを言いたくなる。
でも、子どもにしてみればコーチから散々ああしろ、こうしろと言われたうえに、「なんでお父さんからも言われなきゃいけないんだよ」となる。
さらに仲間からも言われて、もう何重にも指示・命令・助言が覆いかぶさってくるので「またかよ」ってうんざりして、最終的にはやる気がなくなってしまう。
本当にコーチが多すぎるのはよくないです。
教えたくなるのは、知識量が中途半端に少ないときだと思います。
そういうときって、もっている知識を全部出したがる。 逆に知識が多い人は「全部は教えられない」と悟っているから、相手の準備ができたときに必要なことを伝える感じになります。
志郎:まさにそうですね。
保護者は、考えるきっかけを与えてあげたり、基礎的な原則を教えてあげたりすればいいと思うんですよ。
たとえば、ディフェンスなら「裏を取られちゃダメだよ」 「簡単に抜かれちゃいけないよ」とかね。
また、保護者が子どもに対して、「どうして試合に出られないの?」「なんでいいプレーできないの?」と問い詰めると、子どもは都合のいい言い訳をします。
よくあるのが、「あのコーチ、俺のこと好きじゃないから」とか「仲間がパスをくれない」 とか、 自分じゃなくて、他者に責任を転嫁して言い訳をするパターンです。
決して意味のある行動ではないですが、保護者や指導者などの大人から逃げ場のない聞き方をされたら、やはり子どもはなんとか自分を守りたいという気持ちが生まれて、このような言い訳をしてしまいます。
これは子どもが悪いのではなくて、子どもを追い詰めるような聞き方をする大人が悪いんです。
「なぜそうしたの?」という「過去へのWhy」の聞き方は、できなかった理由を問うているから、論理的に考えて必ず「できなかった言い訳」が返ってきますよね(笑)。
志郎:その他責な言い訳を保護者が鵜呑みにすると、不満や攻撃の矛先がコーチや仲間に行く。
そうなるともうどうしようもないし、誰のためにもならない。
一生懸命なんだけど、子どもにどう接して関わっていくか、何を伝えて何を考えさせたらいいのかということがわかっていないと、感情で動いてしまうんですよね。
腹が立ったから怒るんじゃなくて、「この子が変わるきっかけをつくるのに、どんなことが必要なんだろう」という考え方が必要なんです。

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