❖ リフティングがたくさんできる人 = サッカー上手い人?
■ リフティングが10回~20回ぐらいできるようになると、みんなで回数を競(きそ)い合うようになります。
・とてもいいことで、ボールをたくさんさわるモチベーションにもつながります。
・ここから50回、100回とグンと伸(の)びる選手(せんしゅ)は、集中力がついてる証拠(しょうこ)ですし、新記録(しんきろく)が出るすこし前(まえ)で落(お)とした子は「一生の終わり」のような顔(かお)でガッカリし、地面(じめん)に寝ころがってくやしがります。
■ サッカーというスポーツは、ミスの連続(れんぞく)であり「ミスがすくないチームが勝つ」といっても言い過ぎではありません。
・リフティングの回数をのばすために、タッチ一つ一つにこだわり、ミスをしないよう集中しつづける時間を持てることは、メンタル面でとてもいい影響(えいきょう)があると思います。
■ そういう意味(いみ)で、リフティングの回数を競い合うことは、ぜひやって欲しいです。
◎ Gradationでは、★をわたしています
■ Gradationでも、リフティングの回数をのばすことは、とても薦(すす)めていて、達成(たっせい)した回数(かいすう)によって、いろんな色の★(星)を渡しています。
・自分のがんばりを証明(しょうめい)してくれる★をGRAシャツの胸(むね)につけ、選手(せんしゅ)たちはとても誇(ほこ)らしげで、★を渡すときにとる写真(しゃしん)は、みんな笑顔(えがお)です。
◎ リフティングだけ練習してもサッカーは上手くならない
■ しかし「リフティングの練習(れんしゅう)だけして、1000回できるようになった人」と「リフティングは100回しかできないけど、いろいろな練習をした人」は、どちらがサッカー上手くなるでしょうか?
・当たり前ですが、リフティングの練習(れんしゅう)「だけ」していても、サッカーは上手くなりません。
■ キックでも、インサイドキック・インステップキック・インフロントキック・アウトサイドキック、状況(じょうきょう)により、シュート・クロスボール・カーブ・バックスピン、身につけないといけないキックはたくさんあり、リフティングだけでは上手くなりません。
・そもそも「リフティング=上にける」「サッカー =横にける」という大きな違(ちが)いもあり、修正(しゅうせい)しなければいけません。
■ 試合(しあい)で使うキックは、そのための練習(れんしゅう)をしないと、やはり上手くなりません。
・また、キックだけでなくトラップ・ドリブル・ヘッディング・ディフェンス・スローイン…、やらないといけない練習は、リフティング以外にも山ほどあります。
■ ただ、どの練習(れんしゅう)も、リフティング100回以上安定(あんてい)してできる子は、ミート力、キック力のコントロール、ボディバランス、集中力がついていますので、きっと上手くなるのは早いし、プレイのレベルも高くなりやすいでしょう。
❖ リフティング~よくある勘違(かんちが)い
■ しかし、選手・保護者とも、リフティングについては、回数(かいすう)という分かりやすい数字があるため、誤解(ごかい)されることが、よくあります。
❌リフティングの回数が多い人から試合に出すべき
■ リフティングの回数は、努力(どりょく)の証(あかし)なんだから、100回できる子がベンチで、50回しかできない子がレギュラーなんておかしい。
→ 誤解(ごかい)です。まったくおかしくありません。
■ サッカーでは、ボールを持っているときの能力(のうりょく)だけでなく、
⭕ 体を入れて、ぜったいに相手からボールを奪(うば)えるディフェンス力
⭕ まわりを見て、空いてるスペースにパスを出せる視野(しや)の広さ
⭕ 味方(みかた)へ声をかけ、試合全体を有利(ゆうり)にはこぶことができるコーチング力
・こういう能力(のうりょく)は、コーチから高く評価(ひょうか)され、レギュラーになれる可能性(かのうせい)も高いと言えます。
■ 逆(ぎゃく)に、リフティングが上手くても、
❌ ボールを奪(うば)われた後、取り返そうとしない。
❌ キックのコントロールはいいのに、ゴチャゴチャ混(こ)んでるスペースにばかりパスを出し、パスコースの判断(はんだん)がわるい。
❌ だまって黙々(もくもく)とプレーし、味方(みかた)がミスると文句(もんく)だけ言う。
■ こんな選手は、試合に出てもあまり活躍(かつやく)できないでしょうから、ベンチになる可能性(かのうせい)が高いです。
・サッカーの上手さは、リフティングの回数というシンプルな数字(すうじ)だけで、はかれるものではないからです。
◎ 大人が気をつけたいこと
■ 子どもの頃(ころ)は、忍耐力(にんたいりょく)がなく飽(あ)きやすい。
・うまくいかないと簡単(かんたん)にあきらめて、ゲームや別(べつ)のことを始(はじ)めたりします。
・リフティングも、回数(かいすう)がのびないと、つまらなくなって1か月練習(れんしゅう)しないとか、よくあることでしょう。
■ だからと言って
☑ 他の子と比(くら)べて叱責(しっせき)する。
☑ ご褒美(ほうび)を与(あた)えて、なんとか回数(かいすう)だけのばそうとする。
というのは、リフティングをどんどん嫌(きら)いにしてしまうおそれがあります。
・もちろん、ある程度(ていど)は大人が誘導(ゆうどう)しないと、リフティングのように忍耐力(にんたいりょく)が必要な練習を子どもはやりません。
■ しかし、
☑ リフティングはそれ自体がおもしろいテクニックであることに気づく
☑ ゲームのスコアのように回数を競(きそ)うのを楽しむ
☑ リフティング100回できたら、自分のサッカーが上手くなったのを実感(じっかん)できる
リフティングそのものの楽しさや、どれだけサッカーに役立(やくだ)つかを、気づいてもらうのが最終目標(さいしゅうもくひょう)だと思います。
◎ 回数以外のほめる点を見逃(みのが)さない
■ リフティングで一番大変なのは、「1~10回まで」「10~30回まで」だと思います。
・10回しかできない子は、100回できる子の10分の1しか努力(どりょく)していないかというと、そうではありません。
・(安定したフォームで)10回までできたのなら、100回の半分近くまではもう努力(どりょく)しています。
■ 安定してリフティング10回できるようになるまでには、
☑ ボールのどこを蹴ればいいか?
☑ 足のどこに当てればいいか?
☑ 蹴るタイミングはいつがベストか?
☑ 軸足(じくあし)の運び方
☑ どれぐらいの力で蹴ればいいか?
・10,000回以上はボールを蹴って、これだけたくさんの要素(ようそ)について試行錯誤(しこうさくご)し、すこしずつ改善(かいぜん)したからこそ、連続10回までたどりついています。
・その努力(どりょく)を「回数だけ」で評価(ひょうか)するのは雑(ざつ)すぎます。
☑ 蹴るポイントがボールの中心に近づいてきたこと
☑ インステップ(足の甲)に当たって、いい音がしだしたこと
☑ ボールが落ちてきたタイミングで、足を振り出せるようになってきたこと
☑ 軸足をリズム良く動かし、ボールとの距離(きょり)を調整(ちょうせい)できだしたこと
☑ 蹴る力を胸(むね)の高さにうまくコントロールできたこと
・大変(たいへん)ですが、しっかり観察(かんさつ)して、見逃(みのが)さず、ほめてあげられるといいですね。