◆ 進路妨害(しんろぼうがい)Impede(インピード)
■ 相手(あいて)が進(すす)もうとするのをジャマする進路妨害(しんろぼうがい)の反則(はんそく)を、英語(えいご)のルールブックではImpede(インピード)とよんでいます。
■ インピード(Impede) = 遅(おく)らせる、妨(さまた)げる、妨害(ぼうがい)する、邪魔(じゃま)をする。
■ 昔(むかし)のルールブック(=競技規則)では、Obstruction(オブストラクション)とよんでいました。
■ 進路妨害(しんろぼうがい)の反則(はんそく)については、よく次(つぎ)のように説明(せつめい)されています。
あたらしいルールブックでは、Obstruction(オブストラクション)が、Impede(インピード)という言葉になりましたが、内容(ないよう)は変(か)わらず間接(かんせつ)フリーキックになります。
■ しかし、ルールブック(=競技規則)をよく読むと「進路妨害(しんろぼうがい)⇒ 間接(かんせつ)フリーキック」と、カンタンには言えないことが分かります。
サッカー競技規則
第12条 ファウルと不正行為
1. 直接フリーキック
:
・身体的接触によって相手競技者を妨げる。
(impedes an opponent with contact)
:
2. 間接フリーキック
:
・身体的接触を伴わずに、相手競技者の進行を妨げる。
(impedes the progress of an opponent without any contact being made)
:
■ 直接(ちょくせつ)フリーキックにも、間接(かんせつ)フリーキックにも「Impede(インピード)」という言葉はあります。
■ ちがいは「身体的接触(しんたいてきせっしょく)」があったか(直接フリーキック)、なかったか(間接フリーキック)。
■ しかし、相手とボールの取(と)りあいをしている中で、「まったく接触(せっしょく)なしで、進路(しんろ)を妨害(ぼうがい)する」なんてできるでしょうか?
■ 英語(えいご)の「Contact(コンタクト)」という単語(たんご)は、「接触(せっしょく)する」ですが、「連絡(れんらく)をとる」など、こちらから積極的(せっきょくてき)に触(ふ)れよう、つながろうとするイメージがあります。
■ なので「impedes an opponent with contact」は、積極的(せっきょくてき)に、こちらからContact(コンタクト)していって、Impede(インピード)(=相手のプレーをジャマ)したというイメージになると思います。
◎ 直接(ちょくせつ)フリーキックになるImpede(インピード)
■ 身体的接触によって相手競技者を妨げる
(impedes an opponent with contact)
◎ 間接(かんせつ)フリーキックになるImpede(インピード)
■ 身体的接触を伴わずに、相手競技者の進行を妨げる。
(impedes the progress of an opponent without any contact being made)
※背中(せなか)からは、相手が接触(せっしょく)しているとはおもいますが、自分(じぶん)からは積極的(せっきょくてき)にContact(コンタクト)していない。
※ボールがコントロールできる範囲(はんい)にない状態(じょうたい)。
◎ 反則(はんそく)にならないImpede(インピード)
■ さらにルールブック(=競技規則)では、反則(はんそく)にならない(=間接フリーキックにもならない)インピード(Impede)についても、説明(せつめい)があります。
身体的接触なしで相手競技者の進行を妨げる
・相手競技者の進行を妨げるとは、ボールが両競技者のプレーできる範囲内にもないとき、相手競技者の進路に入り込み、その進行を妨げる、ブロックする、スピードを落とさせる、進行方向の変更を余儀なくさせることである。
・すべての競技者は、競技のフィールドにおいてそれぞれ自分のポジションをとることができる。
・相手競技者の進路上にいることは、相手競技者の進路に入り込むことと同じではない。
・競技者が、相手競技者とボールの間に自らを置くことは、ボールがプレーできる範囲にあり、相手競技者を手や体で押さえていない限り、反則ではない。
・ボールがプレーできる範囲にある場合、その競技者は、正しい方法で相手競技者にチャージされることがある。
■ ボールがプレーできる範囲(はんい)にあるとき。
■ 相手(あいて)を手や体で押(お)さえていないとき。
【動画引用元】間接フリーキックとなる反則
⬆ この動画では「自分がボールにさわれる位置(いち)」にいるので、進路妨害(しんろぼうがい)の反則(はんそく)にはなりません。
◎ 許(ゆる)されるプレー
■ 進路妨害(しんろぼうがい)の反則(はんそく)は、きびしく取(と)りすぎると、ボールをうばうディフェスンの正当(せいとう)な接触(せっしょく)や進路(しんろ)に立つプレーまで禁止(きんし)することになってしまいます。
■ ルールブック(=競技規則)では、どういうImpede(インピード)であれば、まったく反則(はんそく)にはならないよ、ということも書(か)いてくれています。
・すべての競技者は、競技のフィールドにおいてそれぞれ自分のポジションをとることができる。
・相手競技者の進路上にいることは、相手競技者の進路に入り込むことと同じではない。
・ボールがプレーできる範囲にある場合、その競技者は、正しい方法で相手競技者にチャージされることがある。
■ フィールド上のどこにポジションをとるかは、みんな自由(じゆう)だよ。
■ 最初(さいしょ)から自分(じぶん)のいるポジションに、相手(あいて)がきたからといって、ワザワザどかないとImpede(インピード)になるわけではないよ。
■ ディフェンスが、ボールをさわれる範囲(はんい)にいるときに、(ボールにたいして)正当(せいとう)なチャージやタックルをすることは問題(もんだい)ないよ。
◆ Obstruction(オブストラクション)の方が伝(つた)わる
■ 間接(かんせつ)フリーキックになる進路妨害(しんろぼうがい)の反則(はんそく)については、昔(むかし)からObstruction(オブストラクション)と呼(よ)ばれてきました。
■「新(あたら)しいルールブック(=競技規則)で「Impede(インピード)」になりました」なんて言っても、昔(むかし)サッカーをやっていた大人の人ほど伝(つた)わらないと思います。
■ しかも、Obstruction(オブストラクション)という反則(はんそく)は、野球(やきゅう)の走塁妨害(そうるいぼうがい)、ラグビーの進路妨害(しんろぼうがい)にも広く使(つか)われていて、日本人はObstruction(オブストラクション)という言い方にみんな慣(な)れています。
■「ボールと関係(かんけい)なく、相手(あいて)の動きをジャマする軽(かる)めの反則(はんそく)」ということで、サッカーも、野球も、ラグビーも、イメージがピッタリで、メチャクチャ分かりやすかった。
■なので、今さら
・サッカーだけImpede(インピード)になりました。
とか
・直接(ちょくせつ)フリーキックになるImpede(インピード)もあります。
とか
・反則(はんそく)にならないImpede(インピード)は・・・
とか
言われると、まったくワケが分かりません。
■ しばらくは、Obstruction(オブストラクション)の方が伝(つた)わると思いますので、両方(りょうほう)おぼえておいて下さい。